下の2枚の地図は、どちらも同じメルカトル図法で描かれている。右のようにグリーンランドを中心に据えると、 見慣れた世界地図とは大陸の配置も形も一変するが、描いているのは同じ地球だ。 mapshift は、この「地図の中心を選び直す」ことを軸にした 自作の地理空間エンジン AAE(Arc Algo Engine) の開発記録である。 外部の配信サービスから地図を受け取るのではなく、公開されている地理データから手元で直接生成している。

中心はグリニッジ(0°, 0°)。経緯線は直交する。

投影の計算式は変えていない。地球の向き(球面回転)だけが変わった。
グリニッジからマドリードへ、さらに北極の近くを回って東京へ。中心が動くと、同じメルカトル図法の世界がどう変わるか(52 秒・無音・字幕つき)。
どちらも同じ地球である。左は見慣れたメルカトル図法、右は日本を中心に据えた正距方位図法。


「北が上・中央がグリニッジ」という配置は人間の取り決めであって、地球そのものの性質ではない。中心を自在に選び直せるようにすると、普段意識しないその取り決めが見えてくる。
なぜ「球を回してから引き直す」のか。4 段階の描画パイプラインと、設計上のトレードオフ。
20 の投影法方位・円筒・円錐・擬円筒・中断図法など、同じ地球を 20 通りに描き分ける。
移動体・イベント航空機・船舶・地上局・衛星・サイバーイベントを 1 つの共通レコード型に正規化。軸は現在 5 本で、後から追加できる。
気流と海流ERA5 の風と OSCAR の海流を、速さのラスタと向きの矢印で可視化。気圧面と時刻を選び、どの中心・図法にも重ねる。
地理院タイルと LOD国土地理院の 9 層を扱い、ハザード図は混色させずに重ねる。拡大率に応じた LOD の切り替えと、視点が止まってから描き直す高精細描画。
タイルと LOD地理院・欧州の公的タイル・OpenStreetMap を任意の中心と図法に載せる。ラスタとベクタの描画経路、対応するデータ形式の一覧。
OpenSky Symposium 2026世界の航空交通を「空港中心」の地図で描き直す。マドリードでのポスター発表と短報の日本語ダイジェスト。
研究発表の一覧、コードの公開方針、外部データの出典と帰属、動作環境と現在の制約事項。
完成した地図を配信サービスから受け取らず、公開地理データから手元で計算・描画する。
| 任意中心Arbitrary center | 地球上のどの地点でも地図の中心に据えられる。中心の付け替えは、投影前に球面そのものを回転させることで行う。 |
| 20 の投影法Projections | 中心と投影法は独立に選べる。同じ中間表現から、座標の対応表(LUT)を作り直すだけで図法が切り替わる。 |
| 重ねるLayers | 海岸線・行政界・河川、OpenStreetMap、国土地理院や欧州の公的タイル、海流や気象のラスタ、そして 5 軸の観測点(航空機・船舶・地上局・衛星・サイバーイベント)を重ね合わせる。 |
| オフラインOffline | 描画時に外部サーバーへ問い合わせない。地図は手元でレンダリングし、タイルも一度取得してローカルに置く。商用の地図配信サービスには依存しない。 |